概要
WSLを常用しています。 WindowsとしてはCドライブをシステム・アプリケーション、Dドライブをデータ領域としてパーティションを2つに分けて使用しているのですが、WSLを標準的にインストールした場合、仮想PCイメージがCドライブに作成されます。 そのため、Dドライブには十分に空きがあるにも関わらず、Cドライブが空き容量が少なくなり、仕方なく、その都度何かしら行って空き領域を増やしていました。
仮想PCイメージをCドライブ以外に作成する方法は前から知っていたのですが、WSL上のLinuxが動作しなくなると困るので、行うことを躊躇していました。
これまで、Ubuntu 22.04 を使ってきているのですが、今回、Windows側の空き容量が必要になったことに対し、別途、そろそろ Ubuntu を 22.04LTS から 24.04LTS に移行しようと思ったこともあり、下記の方針で行うこととしました。
Ubuntu 24.04 を新規でWSLインストールし、この仮想PCイメージをDドライブに移動します。 この状態で、22.04(Cドライブ)から24.04(Dドライブ)へUbuntuのメイン環境を移行していく想定です。 このやり方であれば、移行に失敗して現在使用しているLinux環境が使えなくなることを防ぎ、段階的な移行が可能になります。
作業の流れ
- Ubuntu 24.04 を WSL上にインストール
- この環境を D:\wsl\export\Ubuntu-24.04.tar にエクスポート
- WSL上から Ubuntu 24.04 を削除(unregister)
- エクスポートしたファイル(D:\wsl\export\Ubuntu-24.04.tar)を D:\wsl\Ubuntu-24.04 で動作するようインポート
これで基本的には問題なく実行できましたが、細かい点として、下記のように、インストール時と若干挙動が異なる点があるがあり追加で作業を行いました。
WSLではインストール時にユーザーの追加しデフォルトユーザーとして登録することで、デフォルトのユーザーの環境で起動します。 しかし、原因はよくわかりませんが、意図せず、エクスポートした後はrootの環境で起動するようになりました。 これについては、ubuntu2404 config –default-user と行うことで再設定できることがわかりました。 ログイン後、sudoについてのメッセージが表示されますが、一度 sudo を実行すれば ~/.sudo_as_admin_successful が生成されることで表示されなくなります。
実際の作業
wsl –list
現在インストールされているディストリビューションを確認
PS C:\Users\ユーザー名> wsl --list
Linux 用 Windows サブシステム ディストリビューション:
Ubuntu-22.04 (既定)
wsl –list –online
インストール可能なディストリビューションを確認
wsl --list --online
インストールできる有効なディストリビューションの一覧を次に示します。
'wsl.exe --install <Distro>' を使用してインストールします。
NAME FRIENDLY NAME
Ubuntu Ubuntu
Debian Debian GNU/Linux
kali-linux Kali Linux Rolling
Ubuntu-18.04 Ubuntu 18.04 LTS
Ubuntu-20.04 Ubuntu 20.04 LTS
Ubuntu-22.04 Ubuntu 22.04 LTS
Ubuntu-24.04 Ubuntu 24.04 LTS
OracleLinux_7_9 Oracle Linux 7.9
OracleLinux_8_7 Oracle Linux 8.7
OracleLinux_9_1 Oracle Linux 9.1
openSUSE-Leap-15.6 openSUSE Leap 15.6
SUSE-Linux-Enterprise-15-SP5 SUSE Linux Enterprise 15 SP5
SUSE-Linux-Enterprise-15-SP6 SUSE Linux Enterprise 15 SP6
openSUSE-Tumbleweed openSUSE Tumbleweed
wsl –install -d Ubuntu-24.04
Ubuntu 24.04 をインストール
PS C:\Users\ユーザー名> wsl --install -d Ubuntu-24.04 インストール中: Ubuntu 24.04 LTS Ubuntu 24.04 LTS がインストールされました。 Ubuntu 24.04 LTS を起動しています... Installing, this may take a few minutes... Please create a default UNIX user account. The username does not need to match your Windows username. For more information visit: https://aka.ms/wslusers Enter new UNIX username: ユーザー名 New password: Retype new password: passwd: password updated successfully Installation successful! To run a command as administrator (user "root"), use "sudo <command>". See "man sudo_root" for details. Welcome to Ubuntu 24.04.1 LTS (GNU/Linux 5.15.153.1-microsoft-standard-WSL2 x86_64) * Documentation: https://help.ubuntu.com * Management: https://landscape.canonical.com * Support: https://ubuntu.com/pro System information as of Thu Mar 6 07:26:02 JST 2025 System load: 0.15 Processes: 46 Usage of /: 0.1% of 1006.85GB Users logged in: 0 Memory usage: 2% IPv4 address for eth0: 172.23.229.187 Swap usage: 0% This message is shown once a day. To disable it please create the /home/ユーザー名/.hushlogin file.
vhdxファイルの確認
仮想ディスクイメージ(.vhdx)ファイルを確認します。
下記に作成されます。
C:\Users\ユーザー名\AppData\Local\Packages\CanonicalGroupLimited.Ubuntu24.04LTS_ランダムな文字列\LocalState
今回、下記に生成されていました。
C:\Users\ユーザー名\AppData\Local\Packages\CanonicalGroupLimited.Ubuntu24.04LTS_79rhkp1fndgsc\LocalState\ext4.vhdx
容量は1.29GBでした。
PS C:\Users\ユーザー名> wsl --list
Linux 用 Windows サブシステム ディストリビューション:
Ubuntu-22.04 (既定)
Ubuntu-24.04
停止
一旦、Ubuntuからログアウトします。
ユーザー名@LT1:~$ exit
logout
この操作を正しく終了しました。
停止確認
Stoppedになっていることを確認します。 もしなっていなければ、wsl –shutdown で停止します。
PS C:\Users\ユーザー名> wsl --list -v
NAME STATE VERSION
\star{} Ubuntu-22.04 Stopped 2
Ubuntu-24.04 Stopped 2
wsl –export
エクスポートします。
wsl --export Ubuntu-24.04 D:\wsl\export\Ubuntu-24.04.tar
インストール直後なので容量は少なく、エクスポートはすぐに終わりました。
PS C:\Users\ユーザー名> wsl --export Ubuntu-24.04 D:\wsl\export\Ubuntu-24.04.tar エクスポートが進行中です。これには数分かかる場合があります。 この操作を正しく終了しました。
wsl –unregister
インストールしたものを一旦削除します。(誤って別のものを削除しないように気をつけます。)
wsl --unregister Ubuntu-24.04
wsl –import
インポートします。
wsl --import Ubuntu-24.04 D:\wsl\Ubuntu-24.04 D:\wsl\export\Ubuntu-24.04.tar --version 2
ubuntu2404 config –default-user
Ubuntu 24.04 を起動したところ、rootでのログイン状態となってしまいました。
“ubuntu2404” という(謎の)コマンドでデフォルトユーザーの設定ができるようです。
PS C:\Users\ユーザー名> ubuntu2404 --help
Launches or configures a Linux distribution.
Usage:
<no args>
Launches the user's default shell in the user's home directory.
install [--root]
Install the distribuiton and do not launch the shell when complete.
--root
Do not create a user account and leave the default user set to root.
run <command line>
Run the provided command line in the current working directory. If no
command line is provided, the default shell is launched.
config [setting [value]]
Configure settings for this distribution.
Settings:
--default-user <username>
Sets the default user to <username>. This must be an existing user.
help
Print usage information and exit.
上記helpの通り、予め作成したユーザーを、config –default-user で指定できるとのことです。
PowerShellから実行します。
“wsl –install”を実行した際に作成したユーザー名を指定します。
ubuntu2404 config --default-user ユーザー名
これにより、再度、設定したデフォルトユーザーで起動するようになりますが、最初に下記のメッセージが表示されます。
To run a command as administrator (user "root"), use "sudo <command>". See "man sudo_root" for details.
“sudo ls”等、適当なコマンドでsudoを実行することで、~/.sudo_as_admin_successful が生成され、メッセージは消えます。
-rw-r--r-- 1 ユーザー名 ユーザー名 0 Mar 6 07:58 .sudo_as_admin_successful
終わりに
以上の通り、Ubuntu 24.04 を新規でWSLインストールし、この仮想PCイメージをDドライブに移動できました。
